ウィガウ in GIFT2025
会期:2025年1月23日(木)~1月26日(日)
会場:Gallery IYN
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ウィガウが“人体”に強い興味を持つようになったのは、小学校3年生の時に母親が急病で手術を受けたことが切っ掛けだった。
退院後の母の腹部に残った術後の傷は、幼かった彼女の心に強烈な印象を残したという。
母が自身の専門分野である医学の知識、見識を教えるともなく伝えてくれていたこともあり、いつしかウィガウは皮膚で覆い隠された人体の不思議に目を向けるようになった。
多様な動きを叶えてくれる筋肉と関節によって、人は大地を蹴って走ることも、飛躍することも出来る。
胸の内の思いを雄弁に語る表情もまた、脳と筋肉の働きによって生み出されている。
あらゆる臓器がそれぞれの役割を担うことで機能している肉体は、ウィガウにとって“とっておきの宝箱”だ。
彼女が人物という画題と向き合う時、その眼差しは人体の表層を尽き抜け、その内側にある神秘の世界を見据えているのである。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
ウィガウ:世界のプレコックスを極彩色の連合弛緩によってレクティファイする感じで皆さまのSAN値を削ります
1歳頃お母さんの買ってくれたおもちゃに飽きてお絵描きを始めた記憶があります。
幼少期から絵を描くことが好きだったウィガウは、専門学校ではアナログ画の基礎に加えて映像編集も習ったが、デジタル描画技法についてはほぼ独学だ。
他に類を見ない唯一無二の世界観を目指し、特に描画レイヤーの管理には注意を払っているという。
あまりに独特の視野を持っているが故に、周囲の人と会話が噛み合わないことも多く、だからこそ自分らしさが武器になる表現の世界は、絶対に手放せないものであると彼女は考えている。
いつかは個人事業主としてイラストを受注したいという夢を実現すべく、作品発表の場を広げたいと展覧会にも参加するようになったそう。
たとえ一人の人であっても良い。
自分しか描けない世界観を好いてくれる、必要としてくれる人があれば、その人の期待に応えるために全力を尽くしたい・・・それが、絵師としてのウィガウの信念である。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
ウィガウ:既存の価値観に対する問いかけとか、カタルシスの大切さについて伝えて行けたらと思います。
ウィガウは人体を通して生命を見つめると同時に、死とも向き合っている。
死は忌避すべきものでも、恐れるべきものでもないと考えており、それは世間一般の認識とは異なるのかもしれないが、始まりから終わりまでを含め、“命”の全てを彼女は愛していると言えるだろう。
命を燃やして生きる道のりの中で、幾度もカタルシスを経験することで人は多くを学び取り、その人生の一瞬々々を大切に過ごすことが出来る・・・そう彼女は考えている。
かつてウィガウは、死の淵に限りなく近づいた経験がある。
その瞬間は恐怖に慄いたが、彼女の目に映ったあまりにも美しい光景・・・花々しいと同時に静謐な夜空を思わせる不思議な色調は、イラスト表現の上で大いに役に立つと後に気が付いたそう。
また、この世とあの世の狭間にあっては、一個人としての独立性は消失し、己と他人、己と世界の境界さえ曖昧だ。
そこには、対立も争いも存在しない。
在ったのは、人類が未だ手にすることが出来ずにいる永遠の平和である。
この究極の理想郷とも呼ぶべき終着点に1ミリでも近づくべく、その断片を人々に伝えることがウィガウが絵を描き続ける意義でもあるのだ。
今後はイラストだけでなく、ドール制作や同人誌制作、音楽付きの動画など様々な形で、その世界観を発信したいとのこと。
彼女に敢えて、次のような質問を投げかけてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
ウィガウ:現代社会には他人を慈しむ心が足りません。
対して、私は弱いので他人をいじめることができません。
つまり攻撃によって自分を守ることができないのです。
現代社会は他人に関心が無いですから、私はいつも潜在的な危険に晒されています。そういう地味に危うい体感や経験から、かわいいイノセントなキャラクターが盛大に傷つくのを描いたりして見る人の母性を刺激したりSAN値を削ってカタルシスに訴えかけていきたいです。
(取材/執筆:大石)
ウィガウの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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