朔夜 in GIFT2025
会期:2025年1月23日(木)~1月26日(日)
会場:Gallery IYN
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ファンタジーの世界への憧れは、「現実には存在しない情景を見てみたい」という空想から始まった。
ゲームに登場する異世界の町並みにも憧れを抱いていたという朔夜の心は、異国情緒を求めて西洋における中世の世界観を好むようになったのだそう。
翳りのある異形のモチーフにも惹かれており、それが鬼や幽霊など日本特有のものは身近すぎる故に生々しく感じられて敬遠してしまうのだが、吸血鬼や悪魔といった西洋の妖怪には浪漫が感じられ、描いていてとてもワクワクするそうだ。
まるで西洋のお伽噺や神話を題材にした絵画のように、朔夜の手がけるイラストレーションには背景の物語を想像できる楽しさがあり、鑑賞者の心をその画中世界へと引き込むようである。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
朔夜:中学3年間油絵を描いていたので、社会人なってから再開し今はアクリル絵の具や透明水彩絵の具、色々な画材をつかっています。
父親が趣味で絵を描いていたこともあり、朔夜は幼い頃から美術に親しみを持っていたようだ。
夏休みの絵日記の宿題も好きだったし、交通安全ポスター等のコンクールにも積極的に参加して実績も残していた。
中学に上がると、迷うことなく美術部へ入部。
そこで初めて油絵に挑戦した。今の画風からは想像ができないが、当時は絵の具を厚く盛り上げた表現に夢中になり、水彩や色鉛筆よりも性に合っていたのだそう。
高校からは別の部活を選択したので、長らく創作活動から離れてしまったが、大人になって改めて絵筆をとってみると、自分の視野の広がり、成長を実感できると朔夜は語る。
中学生の時よりも興味を持つ対象が増え、当時よりも柔軟な姿勢で作品と向き合えているそうである。
漫画制作にも挑戦したことを切っ掛けに、彼女の作風はコミック調に変化した。
出版社からの指導もあり、印刷を前提とした鮮やかな色調を意識するようになったことで、絵全体の雰囲気もまた大きく変わったそう。
しかし絵柄は変わっても、彼女の画面作りの基本スタンスは絵画的である。
人物のポーズは表情はやや控えめで、まるで肖像画や厳かな宗教絵画のように、静かに鑑賞者と対峙し、心に語り掛けてくるようだ。
上半身のみを切り取った構図の作品が多く見受けられるが、制作前には必ず人物の立ち絵を描き、衣裳も足元まできちんとデザインが為されている。
それは漫画制作の中で身に着いた習慣であり、その仕込み作業があるからこそ、重厚で深みのある人物を描き出すことが出来るのだろう。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
朔夜:非日常的なファンタジー、空想世界を楽しんで頂けたら嬉しいです。絵にした時に手の仕草で感情を表現しています。少しでも何かが心に残って下されば幸いです。
時間に余裕があれば本腰を入れて、なければラフ描きだけでも・・・と、朔夜は毎日何かしらの形で絵と向き合っている。
絵の中に日々の労苦は持ち込みたくないので、それらは職場にすべて置いて帰るのが彼女のポリシーだ。
夢中になって手を動かし、作品と向き合うことが刺激となって、また次回作のイメージが湧き上がる。
彼女の創作世界は、描けば描くほどに深みを増し、華やかに展開していくようである。
朔夜はかつて油絵を描いていた頃から、踊り子の絵で名高いエドガー・ドガに憧れており、暗い舞台に浮かび上がる絢爛な夢の世界のような、闇と華やかさの混在する作品を自らも描きたいと試行錯誤中であるという。
また、アクリル絵の具と透明水彩絵の具の混合技法にも取り組みたいと考えているそうだ。
彼女に敢えて、次のような質問を投げかけてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
朔夜:絵にした時に中世的なファンタジーっぽいものが好きなので、今っぽいファッションが苦手かなと思います。あまり興味が無いという点が欠落部分になるのかなと思います。
(取材/執筆:大石)
朔夜の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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