- yuko Oishi
- 4 日前
- 読了時間: 7分
更新日:19 時間前
刀月-Togetsu- in ART INPUT 2025
会期:2025年9月18日(木)~9月21日(日)
会場:Gallery IYN
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描き始める時は、完成という着地点は敢えて見据えずに、考えることよりも感じたままに・・・
最後まで描き切ってみないと、どんな作品になるかは分からない。
分からないからこそ面白い。 そう 刀月-Togetsu-は語る。
思うように筆が乗らずに苦しい時もあるが、どの作品も振り返ってみれば、いずれも楽しい思い出になっており、何より絵という自己表現手段は、彼女にとって常に救いであり、心の支えであった。
悲しみや苦しさをどの様にして受け止めて、イラストに昇華させていけるのか。
言うなればそれは、ネガティブな事象をポジティブに転換するための作業。
画中世界は、苦境にあっても前を向いて歩み続けるべく英気を養うための、特別な憩いの場所なのである。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
刀月-Togetsu-:「光閃一刀 -昔日の想愁-」です。
愛しい人を想い守り、眼前の物事に刀を振るい立ち向かっていく様を描いています。
描いていた当時は秋でしたので、紅葉を描き足しました。
全体的にまとまった構図で描けたなと思っています。
意図せずしてめずらしく動きがある作品になったので自分でも満足しています。
こちらの作品に限らず今のところあえて深い意味づけをしておりません。
必要以上に意味を与えると固定された解釈に捕らわれてしまうと思ったからです。
ご覧いただく側に想像の余地がある方がご感想をいただいた時にそんな解釈もあるのかって面白いなと感じます。
「じっと見ていると奥の女性が活きてくるね」など、思いもよらなかった新たな視点や気付きをいただいたり。
時々、事細かくキャラクター設定まで考えてご感想を述べてくださる事もあり、時にはそれも有りだなと感じます。

デジタルイラスト作品だけでなく、長年に渡って刀月-Togetsu-は石粉粘土を用いた人形作りにも取り組んでおり、人形教室から発足したグループによる展示活動によって、アート全般の面白さ、奥深さを彼女は知った。
人形の展示も勿論あるが、メンバーがそれぞれに得意とするジャンルの作品も披露するので、抽象絵画や立体造形など、様々な展示作品に感銘を受け、自身もコミックイラスト以外の平面表現にも挑戦出来たらと考えるようになったそうだ。
また、グループのリーダーが教えてくれる芸術論や様々なアーティストの思想のおかげで、見聞がぐっと広がった。
グループ活動を通して得たものの全てが刀月-Togetsu-の人生に輝きを与え、いま彼女の毎日は豊かで刺激に満ちているという。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
刀月-Togetsu-:高校生の時にヴィジュアル系バンドを知り、歌やその容貌の美しさに次第に憧れを抱くようになり絵柄がまたたく間に変わっていきました。
それまでは目が大きな普通のアニメ絵でした。
それがいつしか切れ長の目にまつ毛、鼻筋の通った面立ちになり、好きなバンドが耽美をテーマにしていたこともあって自分なりの解釈で耽美を目指していきました。
結果的には耽美とまではいきませんでしたが意図せずして妖艶とのご感想を多方面から頂けるようになり、これが自然な形で導き出した自分なりの今の答えだと思っています。
この先も創作していく限り今の答えもその時に求めるものや心情で変わっていく可能性もありますが、気の向くまに任せています。
主線が細いのはこの頃から変わりなしです。

絵を描くことで日々自らの心と向き合い続け、己の長所も短所も知り、不完全な自分を許せるようになったことで、刀月-Togetsu-は他者に対しても寛容でいられるようになったのだそう。
幼少期から人間関係の悩みは尽きず、特に兄妹間の問題は身内であるが故に逃げ出すことが出来ず、随分長い間苦しんできたらしい。
しかし相手を変えることで状況を変えるのではなく、まずは自分自身を認めてやり、心を安定させることで相手の心情に寄り添えるようになり、時間はかかったが次第に兄もそれに応えてくれるようになったのだとか。
絵という心の拠り所のおかげで、家族との絆が回復することが出来たのである。
そして今では、創作がグループの仲間との絆も育んでくれている。
七転び八起き・・・描き続けることでいつしか暗雲が晴れ、彼女の心の空には眩い虹が架かっているようだ。
「ART INPUT」展では、一人のオリジナルキャラクターを主題に、様々な情景を並べてみる予定であるという。
モノトーンの中に、唇や目元など要所々々で赤味を指して、限られた色調の中でどれだけの表現が出来るか挑んでみたいとのこと。
また、今後の活動の展望について訊いてみると、一昨年から古事記や日本書紀、古史古伝や神代文字の面白さを知ったそうで、「温故知新の気概で学んできたことをこれから絵や造形に活かしていきたいと思います」と話してくれた。
是非、「ART INPUT」展以降の作品披露にもご注目頂きたい。
取材の最後に、刀月-Togetsu-に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
刀月-Togetsu-:数年前までは「こうでなければ」、「こうであるべき」など自分の中で作り上げてしまった物差しで、がんじがらめになり苦悩していました。
ネガティブに陥りやすい性格だからこそ希望を持ちたくて無理に明るい絵を描こうとしたり。
結果的にどこか不自然で作品から自分らしさを感じられなくなり、表現の仕方に悩んだこともありました。
殺伐とした環境下で育った生い立ちの複雑さや、生まれつき私自身の感情が乏しくそれにより表現の幅が狭いのも自覚しています。
物事への視点が周りより違うことで周りから「普通の人間」を求められ辛い幼少期を過ごしました。
生まれて2、3ヶ月の時に遠近法の仕組みをよく理解しておらず、人が小さく見えたり大きく見えたりすることが面白かったのを覚えています。
1歳の頃はクリアタイプのおもちゃのガラガラの中身を直に手に取りたくて叩きつけて接合部分が甘くなったところから分解して中身を取り出したり、2歳の頃は泣きもせず指の傷口の様子をずっと観察するような子供でした。怪我をした私を抱きかかえ父親はオロオロしていましたが…。
「これが普通、他の皆と違う事をしないで」どうして自分のままではいけないのか。
子供の頃から教え込まれた「人と違うこと=恥ずかしいこと」ここに今でも大きな疑問を持っています。
人に迷惑をかけてしまうことに関してはもちろん改善するよう努力をしてきましたが、自分らしさまでは失いたくなかった。
私が描く人物の無表情さも動きのなさも今の私。それもありのまま描きたいと思った。
これから成長していく過程で年月が経ち、気がつけば表情の幅が大きくなったり躍動感も出てくるかもしれない、ストーリー性もついてくるかもしれない。もしかしたら、そのまた逆で変わらない選択をするかもしれない。
不器用なりに「描きたい」という今この瞬間に感じる気持ちを大切にしながら日々成長していきたい、その気持ちを大切に創作活動をしております。
振り返ってみると、それが結果的につまずきながら乗り越えてきた形だと思います。
気がつけば自分の長所を探してみたり短所も許し認められるようになってきたり。
自分を受け入れてくれる環境を探す、面白いと思う物事に自ら積極的に飛び込んでみる。
そうした人生の気付きは創作にも直結していきました。
(取材/執筆:大石)
刀月-Togetsu-の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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