文月 槐 in GIFT2024
会期:2024年10月31日(木)~11月3日(日)
会場:Gallery IYN
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3年程前までは、絵を描くと言えばシャープペンシルでノートの隅に落書きをする程度だった。
しかし、ふとした折に「自分の遣りたいことは何か」と考えた文月槐は、本腰を入れて作品制作に取り組むようになる。
たまたま家にあった水彩絵具を制作の相棒に選んだが、扱い方が皆目わからず、初めは苦労したそうだ。
どの程度絵具を塗り重ねていけば良いのか、どの位 水で薄めれば良いのか・・・手探りで試行錯誤を繰り返す日々が続いた。
なかなか思うように描けず、手強い画材と思う反面、だからこそ遣り甲斐があり、挑戦することが楽しくなったのだとか。
水彩画の魅力について尋ねてみると、何よりも“色味”に心惹かれると彼女は答えてくれた。
デジタル手法であれば一瞬で色を塗れたり、塗り直すことができ、その手軽さと比べれば難儀さはある。
しかし、いくつかの行程を経なくては生み出され得ない色調だからこそ趣と魅力を感じるのだそうである。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
文月 槐:小さい頃から絵を描いていてきっかけというものは無いかもしれません。
コンセプトというか描きたいものを描いているような感じです。
水彩画を描き始める以前から、展覧会鑑賞が好きで、当初は美術館での展示のみだったが、後にギャラリーの展示にも文月は足を運ぶようになる。
一番初めに訪れたギャラリーのオーナーとは段々と懇意になり、作品を描くようになってからは絵の助言を度々してもらっているそうだ。
彼女の初出展はそのギャラリー主催の公募展で、以後様々な展示に参加する内にクリエイター同士の繋がりも増えていった。
知り合いの参加している展示にはなるべく赴くようにしており、他者の作品を見ることが刺激にも、また励みにもなっているという。
オーナーや絵描き仲間、それから自分の絵を見てくれる人々・・・もし絵と無縁の生活をしていたなら、彼等との接点は持ち得なかった。
彼等との縁は、創作活動が自分に授けてくれた掛け替えのない宝であると、文月は考えている。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
文月 槐:私から特にこう言ったことを感じてほしいというものはないです。
自分の作品を見て何か感じてくれたらとても嬉しいです。
作品を描いていると、果たしてこのまま描き進めて上手くいくだろうかと悩むこともあるが「とりあえずは一旦仕上げてみるようにしています」と、文月は語る。
模索に疲れたら一旦筆を置き、気分が乗れば再挑戦。楽しんで絵を描き続けるために、適度な距離感を保っているという。
嘗てペンを持てばいつも人物を描いており、水彩画を始めてからもモチーフに変化はない。
人物以外の対象に心が動くことは殆どないそうで、これからも様々な人物像を生み出し続けていくことだろう。
「今は専ら小振りの作品ばかり描いているが、いつかは大作にも挑んでみたい」と、文月は新たなステップも見据えている。
彼女に敢えて、社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
文月 槐:鬱傾向が昔からあり、10代で鬱、27歳で軽度のASD(自閉症スペクトラム症)が発覚しました。
昔から周りとは違った感覚を持っていたため生き辛さみたいな物を持っていました。
私のように軽度の障害を持っている人やグレーゾーンの方にも生きやすい社会になればいいと思っています。
(取材/執筆:大石)
文月 槐の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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