- yuko Oishi
- 4 日前
- 読了時間: 6分
其間-sonoma- in ART INPUT 2025
会期:2025年5月29日(木)~6月1日(日)
会場:Gallery IYN
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学生時代、専攻するデザインの課題の息抜きにデジタルイラストを描くことが習慣となり、中高生の頃には落書き程度のものしか描かなかったところが、徐々に自己表現作品として力を入れるようになった。それが、其間-sonoma-の創作活動の原点だ。
卒業後、作品の方向性について悩み、また現状に物足りなさを感じた折に透明水彩やアクリルガッシュ等に触れる機会があったことから、アナログデジタル問わず制作する現在のスタイルに落ち着いたのだそう。
以前から好きだった“和”のテイストと、影を背負った“アウトロー”。そこに加えて、幼少期に愛読していた童話の影響もあって“人魚”も画題として取り扱うようになり、現在はこの三つの要素を創作の核に据え、用途や作品の主題に合わせて使い分けているという。
いずれのモチーフでどんな作品を描くにしても、根幹にあるコンセプトは、即ち“間”。
それは、“其間”という作家名の由来にもなっており、彼女は様々な事物の“間”に生まれる感情や情緒、空気感などの中へ自身が伝えたいものを流し込み、それを鑑賞者に感じ取ってもらえる作品作りを目指している。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
其間-sonoma-:代表作は「憂い」です。
「憂い」という作品に込めた感情を読み取ってもらうために、あえて影描写などの要素を省き線の流れと色合いだけで描いた作品で、
この作品が今の画風スタイルを初めて確立した1枚だと考えています。

アナログ作品を描くにあたっては、画材の質感や紙の凹凸によって生まれる歪さにこそ唯一無二の味わいがあり、「特に透明水彩やインクなど水の滲み具合で変わる様は何度見ても飽きることがありません」と其間-sonoma-は語る。
但し、作成中に狙った効果が得られなかったり、完成後に画面上のバランスの悪さが気になってしまい、全力を尽くしたものの没作品になってしまう事もしばしば。
これぞと思える作品たちは、数えきれない失敗を糧にして生み出されているのだ。
デジタル作品の場合は、納得がいくまで修正を加えることが出来るため、自身の理想とする完成図に限りなく近づくことが出来る。
しかし、その魅力が印刷をしてみると損なわれてしまう場合も少なくない。
なので展示会等で作品を披露するにあたっては、如何にしてアナログ作品にも引け劣らない仕上がりに出来るかが課題であるという。
印刷技法について調べ見たり、時には印刷面の上に絵の具等で加筆するなど、試行錯誤を続けているそうだ。
アナログにおいてもデジタルにおいても、最も魅力的な状態で鑑賞して貰えるよう最善を尽くす。
そうして描いた作品を初めて購入して貰った折は、自分の絵を手に取ってくれる人があったという事が殊の外嬉しく、“正に心が歓喜に満たされる感覚”であったそう。
また作品を披露することで、鑑賞者から寄せられる感想から自身にはなかった視点・着眼点に気が付くことも多く、それは次の作品制作に活かされる。
より多くの人に絵を見て貰うことで、其間-sonoma-はクリエイターとして、これから一回りも二回りも大きく成長し続けることだろう。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
其間-sonoma-:創作の方向性を決定づけたのは、大学の卒業制作です。
この制作では日本の美意識の一つである「余白美」をテーマに研究を進め、
その中で時間的・空間的において何かと何かの間に生ずる『間』という概念に辿り着きました。
そしてこの『間』に「風情」や「美」など何かしらの意味を見出すことが余白美の真髄だと考え、
これを自身のアイデンティティとすることを目指して作品を制作したことが創作の方向性を決定づけたきっかけだと思います。

其間-sonoma-にとって転換期となった大学の卒業制作・研究に際し、彼女は“余白美”の中に“もののあはれ”“わびさび”“自然美”といった価値観が包含しているのだと悟る。
日本の全ての美意識に通じる、この“余白美”の余白とは、一体なんであろうか。
様々な方向から調べてみて見出した答えは、「余白とは空間的・時間的に置いて、物と物、人と人、人と物の間に生ずる《間(=空白)》である」ということ。
そのルーツや、美意識として変化していった経緯を探る為、彼女は日本の風土や宗教観をはじめ、そこから生まれた様々な美意識について更に研究を進めた。
この時に得た知識・見識が其間-sonoma-というアーティストの血肉となっているのである。
其間-sonoma-が描く人魚は、余白がもたらす“間”の特性の内、“情緒”“感情”の象徴として捉えられている。
移ろい、高ぶり、そして鎮まり・・・
そんな風に揺れ動く感情を水に擬え、その中で生きる者として最適なモチーフとして選ばれたのが人魚だったのだ。
「感情の海に身を任せ、時には逆らいながら生き抜く人魚の美しさと強さ、儚さを感じ取っていただければ幸いです」
そう語る彼女の力作たちを、ART INPUT展にて是非ご堪能頂きたい。
また、今後は貝殻や魚の鱗などを画材の一部として絵に使用したり、作品を掛け軸にするなど新たな展示方法の導入も視野に入れ、最終的には日本画の技法を取り入れた作品作りを考えているそうだ。ART INPUT展以降の活動にも、増々目が離せない。
創作に取り組む余暇以外、日中に務めに出ている時なども、創作のためのアイディアを得るためのセンサーは常に作動している。
其間-sonoma-とって創作時間は、頭の中に蓄積されていく意欲を吐き出すと共に自分を見つめ直し、ぶれない軸を構築するために必要不可欠なものであるという。
そんな彼女に、取材の最後に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
其間-sonoma-:その状況に陥った原因を確認してから対応します。
今までの経験上では、原因が自身の内面(感情や能力値など)にある場合が多く、感情面でどうにもならない場合は作品として吐き出しますが、
制作関連で苦しい場合はインプットアウトプットのバランスを意識して研鑽を積んだり、逆に一旦離れて他のことで気分転換をして切り替えます。
それでもダメな場合は関連する思考を全て放棄して休むことにしています。
また、原因に他者が関わってくるものの場合は物理的に距離を置いたりなど状況内容に応じて対処しています。
(取材/執筆:大石)
其間-sonoma-の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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