NANU in ART INPUT 2025
会期:2025年2月6日(木)~2月9日(日)
会場:Gallery IYN
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絵画制作にあたり、一般的な描画材料に加えてNANUが用いているのは、塗料やパテなどの建築用材。
幼い頃から図工が大好きだった少年は、大人になって建造物そのものや内外に飾られた置物やモニュメント等の修繕を生業とするようになり、「これは絵にも使えるのでは」と閃いた素材を率先的に取り入れて、描画表現の幅を徐々に広げていった。
十代の頃は頭の中に思い浮かんだ景色などを具象的に描くことが主であったが、ある出来事を切っ掛けに彼は、抽象表現の世界へ足を踏み入れ、自身が感じ取ったこの世界の在り様を、画面の上で探求し続けている。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
NANU:「目に見えない流れ」です。
私のテーマになった「目に見えない流れ」の最初に出力した作品であり代表作となります。
又、初めてアクリルガッシュを使用した時の作品でもあります。
幼い日にも命について考えずにはいられない時期があったが、成人して間もなくしてから身近な人の死を経験し、改めて生と死について考えさせられたとNANUは語る。
この世に生かされている人間および全ての生命が持つエネルギー。
死を迎えた者の苦悩や無念さ。
そして、大切な人を失った人のやり場のない感情・・・
目には見えない大きな力に取り巻かれて、この地球は回っているのである。
私たちが目視できるものは全て、このエネルギーによって存在していると言っても良いかもしれない。
それが人間であれ、はたまた神と呼ばれる者や、地球や宇宙の意思であれ、“作り手の思い”なくしては何者も生まれない。
そして、全ての生命の動作・行いは、その“心”から生じている。
その目に見えない力、エネルギーの動きを、NANUは色と形によって表そうとしているのである。
生と死を見つめたことを切っ掛けに、人々が当たり前のよう過ごしている日常が、どれだけ尊く、何気ないことこそが如何に幸福なことであるかを、彼は知った。
今は、その有り難さをしっかりと噛みしめながら、日々の生活を営み、作品と向き合っているという。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
NANU:振り返れば小学生3年生の頃、父親が白血病になりその頃は生存確率が10%以下の時、自分にできる事が御守り代わりにと「神」とおでこに描いた顔の絵を描いた事。強い感情を乗せ表現した事が始まりだったと思います。
音楽はないと生きてこられなかったと思う程、大きく助けられました。
ジャンル問わず音楽は大好きで、特によく聴いていたのは
ASIAN KUNG-FU GENERATION様
ACIDMAN様
間違いなく感受性やインスピレーションと影響を頂いたと思います。
仕事終わりに創作に打ち込むことが日課となり、作品は随分貯まっていたのだが、NANUがそれらの発表活動に力を入れるようになったのは、つい最近のことである。
コロナ禍を経て、家族の健康状態に悩みもあり、不安を撥ね退けるように絵を描き続けていた彼の初めてのイベント参加は、昨年の冬に開かれた「メリーくまスマス展」(シャカイノアート主催)だった。
仕事で独立したことから、環境・生活リズムに変化があって「表現者としても、一歩踏み出してみたい。何事においても前に進まなくては」と、まるで自らを鼓舞するように、新しいステップを踏んだのである。
自分の作品に目を止めてくれる人が在るだけでも十分に嬉しいのだが、地元で開催されたマルシェに自らも足を運んだ折には、目に涙を浮かべて見入ってくれた来場者と話をすることができた。
活動を始めてからの日数はまだ浅いが、彼はこれからも作品を通して多くの人と触れ合い、こうした感動をたくさん心に刻みこむことだろう。
最近はAI技術を活用して音楽も作っており、行く行くは映像表現にも着手してみたいと考えているそうだ。
自らのコンセプトを可視化する手段は絵画以外にもある筈なので、その可能性を探っているところであるという。
そんな彼に、次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
NANU:自分との対話をしていました。
自身に嘘はついていないか。
自身の気持ちや想いはどうなのか。
自身にとって何が大切なのか。
自問自答しています。
瞬間は真剣ですが時が経てば寝て食べて笑って忘れての様に少しだらしない感じで乗り切っております。
強弱・静と動・表と裏みたいなイメージです。
(取材/執筆:大石)
NANUの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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