松尾みさき in ART INPUT 2025
会期:2025年3月13日(木)~3月16日(日)
会場:Gallery IYN
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松尾みさきが絵を描き始めた最初の切っ掛けは、実にユニークだ。
中学校で部活動を選択する際、小学校から続けていた習い事に専念できるように「なるべく、さぼれる部活が良いな」と考え、美術部に入ることにしたのだそう。
動機としては不純かもしれないが、彼女は入部後 間もなく絵を描く楽しさの虜になる。
特に夏休みに取り組んだ油絵が楽しく、すっかり“沼にはまった”彼女は高校でも美術部に入り、大学では教育学部でやはり美術を専攻した。
そこで油彩以外にも立体造形や工芸にも挑戦し、様々な技法への関心・挑戦意欲が高まったことから、今も作品のイメージに合わせて油画、ボールペン画、水彩画、アクリル画などを併用したり、コラージュして再構成したりと、多様な手法で制作を行っている。
絵の中に「自分らしさ」を求めるようになったのは大学2年生の頃。
それまでに描いていた作品は、ごく平凡な風景画が主だったが、何か自分だけの強みが欲しい、自分ならではの表現がしたい・・・では自分らしさとは何だろう?
そこで彼女が見つけた答えが“手”を主題とすること。
“手”は、彼女が初めてデッサンに取り組んだ際のモチーフであり、また以前から“手”には思い入れを持っていたそう。
曰く、人は自分がこの世に存在していることを確かめる時、手を見つめ、手で触れ、手で紡ぎ出すものである。
己の体のどの部位よりも身近に感じられる“手”に、様々な感情を託し、彼女は独創的な絵画を生み出すようになった。
その手は、まるで生命の象徴のようでもあり、情感豊かに鑑賞者へ多くのことを語り掛けている。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
松尾みさき:「白昼夢」です。幼い頃に見た悪夢を題材にした作品ですが、不気味さと、どこか懐かしく、温かさも感じられるような調和感を意識しました。後に立体作品として制作することにもなりました。立体作品の制作は多くの方に協力いただき、その思い入れも含めて代表作に選びました。

顔の表情や、体全体を使った動き、仕草に頼ることの出来ない“手”だけを用いた表現は難しくもあるが、その制約があるからこそ、描き分けがとても楽しいと松尾は語る。
肌の色に違いをつけてみたり、ごつごつと骨ばった手や筋肉質の手、爪の形状など・・・実は手にも様々な面相があるのだ。
読書が長年の趣味であるため、作品のテーマやアイディアは、読んだ本の中から湧き上がってくることが多いそう。
印象的な場面、美しいと感じた情景、心に響いてきた作中人物の感情・・・それらを“手”で描き表すので、もとになる小説の世界観を宿しつつも、更にそこから飛躍した斬新で奥深い魅力が備わっている。
その独特の味わいからか、作品を鑑賞した後に松尾と対面して「年配の男性が描いたのかと思っていた」と驚いた様子の人もあったという。
そんな思い出を振り返りつつ、松尾は「年齢の重みを感じられるような、厚みのある作品に仕上げられていたら嬉しいなと思います」と話してくれた。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
松尾みさき:「手」というモチーフをよく描くようになったのは、ルーベンスの「十字架降下」の人物を全て手に置き換えて描いてみてからです。もともと興味があったモチーフではありますが、色々な画材で描くようになったのもそのくらいの時期からです。
個人の感情が溢れて来るような、宗教的な作品が好きです。セザンヌ、クリムト、エゴンシーレの作品が特に好きです。

重厚な絵画表現は松尾の作風の特徴のひとつであるが、その一方でイラストチックな作品、絵本タッチの作品も手掛けており「振れ幅が広いね」と声をかけられることもしばしばで、彼女にとってそれは最上級の誉め言葉だ。
あらゆることに対して「挑戦することを諦めずにいたい」と語る彼女は、これまでに使用したことのない画材や描いたことのない大きさの作品など、何かしら新しいことに挑むよう常日頃から心掛けているという。
また、大学を卒業してからも、油絵や水彩など様々な画材・手法において師と仰ぐ人との出会いに恵まれており、慣れ親しんだ描画方法においても更なる探求の後押しをしてくれる人たちがいるのだそう。
彼女の目下の目標について訊いてみると、乾燥の早さや乾燥後の質感がマットすぎる事からアクリル絵の具に苦手意識があるそうで、「だからこそ克服したいと思っています」と答えてくれた。
その挑みの成果をはじめ、ART INPUT展では多様な画風のバリエーションを披露する予定だ。
その振れ幅に、是非ともご注目頂きたい。
取材の最後に、松尾に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
松尾みさき:言葉にして書き残すようにしています。携帯のメモとか、クロッキー帳の端っことか。ポエマーになりきって書いています。
後々そのメモを元に作品を描いたりもします。
(取材/執筆:大石)
松尾みさきの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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