- yuko Oishi
- 8月13日
- 読了時間: 8分
更新日：9月10日
星架月 in ART INPUT 2025
会期：2025年9月11日（木）～9月14日（日）
会場：Gallery IYN
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メディウムを混ぜることで、より鮮やかさを増した透明水彩絵の具を塗り重ね、星 架月 は華やかな彩りに満ちた夢の世界を、画面上に築いていく。
絵を鑑賞する束の間、慌ただしく忙しい現実生活から距離を置き、肩の力を抜いて癒されてほしい・・・
それは、彼女自身が生きることに常に必死であったからこそ、自然と画中世界に安らぎを求めるようになったのかもしれない。
彼女は今、健康面での不安を抱えながらも、少しずつ前へ進もうとしている。
何かを見て「美しい」「可愛い」「素敵だ」と感じる心を忘れずにいたいから、そうしたときめきを取り戻せるような作品を描き続けることは、今まで以上に彼女にとって大きな意義を持つことだろう。
そして其れは彼女だけに限らず、現代社会を生きる多くの人にとって、必要なアートである筈だ。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
星架月：「Sheep Sleep Sheep」でしょうか、X（Twitter）にアップした時に背景の模様やカラフルな羊などで観ている方の印象が良いように思いました
分け合う心も絵本のような一枚でかわいいという感想をいただいております。こちらははっきりとした配色が目を引いたのでは、と思います
「Sheep Sleep Sheep」は、2022年にGallery IYNで開催された二部作展「夢枕」第一部『夢の中の少女』で披露した作品で、第二部『夢の中の少年』の出展作品「BAKUバク獏」と対になっている。
悪夢を見ていた少年を獏が救い出し、少女が見ている幸せな夢の中へと誘ってくれるという構想になっており、その夢が楽しくカラフルなものであるようにと願いを込めて、星は画中の羊たちを現実ではあり得ない色彩で表現をした。
背景の模様を描くに際してはマスキング液を用い、液を細かく塗っていく作業がなかなかに困難だったそう。
そんな作者の苦労を感じさせない程に、少女の夢の世界は明るい輝きに満ちている。
いつまでも見入ってしまうような、とても幻想的で優しい情景だ。
水彩手法を日々探求すると共に、星は作品の保存状態にも気を配っている。
いずれの作品にも防黴スプレーは必ず噴霧しているそうで、また紫外線による色褪せなども極力避けるよう意識しているそうだ。
諸行無常とは言うものの、大切な作品たちは、なるべく長く良い状態を保っていて欲しい。
そんな作者の思いを汲んでいるのだろうか。
画中世界を流れる時間は、ゆったりとして、実に穏やかであると感じられる。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
星架月：高校生のころ手製のHPに時折二次創作の絵をアップする程度の活動をしていたころ、自分で絵を描くよりも他人の素敵作品を探してみるのがあの頃はすきでした
そのころ水彩作品を描く方の絵に酷く惹かれました。淡い色で色づいているのにその一瞬を鮮やかに切り取ったような印象深い絵が今でも頭の中に残っています。いまでは、そのHPも作者の名前もネットの海の中に消えてしまってわかりません
そこから、どんな紙に水彩が適しているのかもわからないところから、いろんな試行錯誤を繰り返して今に至ります。あの時に感銘を受けた方の作品とは塗り方や表現の仕方もまるで違いますが、あの作品に出会わなければ水彩でイラストを描くことはなかったかもしれません
創作にあたって星は、原則としてモチーフを空想というオブラートで包み、現実に寄り過ぎないようにすることをモットーとしている。
もの悲しいテーマを扱う際には特に、そうした配慮が必要だ。
形を変えることで、メッセージは伝わりにくくなってしまうかもしれないが、その作品によって鑑賞者の心が抉れてしまうことのないよう、直球的な表現は避けているのだそう。
だが「ART INPUT」展では、敢えて現実世界の闇を見据えてみようとしているという。
描こうとしているのは、この地球上で起こっている戦争に対する憂い。
そうした表現に踏み切るにあたっては随分悩んだが、人類皆で考え続けなければならない事だからこそ、目を逸らしてはならないと強く感じたそうだ。
誰しもが目先のことばかりに夢中で、離れた場所の問題に無関心になりがちであるからこそ、僅かながらでも別の誰かが置かれている苦境に思いを馳せて貰えたら・・・
そんな願いを込めて、制作を進めているとのこと。
取材の最後に、彼女に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
星架月：漫画にしろ、絵にしろ、ネタ出し→ラフ→下書き→清書→そのほかに色付けや細かい部分の書き足しなど、まず、案を練るところで、悩み、そこから清書までは何度も何度も同じ絵をかきながら少しずつ精密にしていきます、多くの人が思うとこではあると思いますが、この作業大変つらいです。ただただ、作品の完成を見るためだけに作業しています。
ネタ出しや細かい装飾に悩むときはとにかく参考になりそうな資料をみたり、インターネットで資料を探したり、いろいろ調べて考えています
人生において、苦境に立たされたことといえば、他人からの期待、理想の自分とのギャップ、これらと自身の生活や好きな事と健康を両立できなかったことでしょうか。仕事に就けば当然好きなことをできる時間が限られて、会社でも期待に応えたいけれど応えきれない、創作活動もしたい、友達とも遊びに行きたい、恋もしたい、やりたいことばかりのわがままを全て叶えたくて、けれどそれらに体がついて来なくなった頃にどうやって誰に相談すればいいのかも同時にわからなくて、逆にこの程度みんな同じように苦しくてそれでも何事もないように働いているのだと思うことで乗り切ろうとしていました。
結局それは大きな間違いで、もっと弱音の吐き方や、息抜きの仕方、しんどいときにしんどいと言える勇気がなかったのです。これに関して、まったく乗り越えたとは言えません。結局体に限界が来てしまい、以前のように活発に動けなくなりました。普通の人のように元気に働けない、遊びに出ることもままならない、一時はほぼ寝たきりの状態の時も長く続きました。今でこそ、家の中で無理をしなければほそぼそ、創作活動の時間をとれるようになましたが、昔抱いていたなんだかんだなんだって出来た自分にはもう二度と戻れないでしょう。きっと自分を甘やかして旨いことどこかで手を抜いたり無理しない、こと、それこそが人生を乗り切る鍵なのだと今なら思います。
私にとってはそれこそ、無理をしないように生きるということは永遠の課題のような気がします。
どうにしても、健康でいることがなによりも、大切なことだと思います。皆さんの人生では自分を大切にして健康でありますようにと願うばかりです。
（取材/執筆：大石）
星架月の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
ART INPUT2025を、どうかお見逃しなく！
星架月のSNSも、是非ご覧ください。
Instagram:＠hoshikatuki
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《 星 架月 プロフィール 》
作家名・星 架月
メイン画材は透明水彩、デジタル採画をすることもあります。
副画材には、マスキングインク・水彩メディウム数種・防腐剤スプレー・金銀筆ペンなど様々に多様しています
基本的には見た人に笑顔になって欲しい、ひと時の安らぎを得て欲しいという思いで絵を描いています
今回の展示ではARTINPUTというテーマに沿っていくつか考えて欲しい作品を展示しています。
新作：戦火を憂う天使
現在の世界の鳴り止まない悲劇を思い描きました
人が人の命、安寧、人の尊厳を奪い続けている、遠い世界の事のようにも思いますが、きっとそれは思っているよりも間近にある世界です
分け合う心：あるゆる人種、国の壁を越え助け合える世界になるよう祈りを込めています
視えない心：目に見える物が全てではない、見える世界の外にも興味を持って欲しいという願いから
ないものねだり：どちらも男の子でも、女の子でも、あなたはどう思いますか？男の子が女の子の格好をしている？男の子が女の子の可愛いを羨ましがっている？逆も然り、ありのままでいる事の難しさを描いています
何か得るものがありますように
