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夏樹 圭 in 個性について考える2025


会期:2025年2月27日(木)~3月2日(日)

会場:Gallery IYN


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蓮の絵
「 鏡華水晄(近代日本美術展入選作品F100号) 」


夏樹圭の生み出す切り絵作品は、実にユニークで個性的だ。

当初はオーソドックスな手法を用いていたが、紙だけではどうしても表現できないものがある。


例えば、十二単を着た平安女性をモチーフにする際には千代紙が最も適した素材だったが、花魁をモチーフにした場合には、ずっしりと裾に綿の入った装束の厚み・重みが演出できない。

それならば、いっそ本当の布地を使ってみよう・・・


窓辺に並んだ犬の背中を表現するにあたっては、羊毛フエルトを差し込んでみたところ、その質感が依頼主に大好評だった。


車の絵を手がけた際はフロントガラスの透明感がなかなか上手く表現できず、サランラップなど身近なものをあれこれ試して見たが、どうもしっくりこない。

下手をすると廃車のようにも見えてしまうため、作業に行き詰っていた際に目に止まったのが、孫が食べていたチョコレートの包装プラスチック。

創作のヒントは、思いがけないタイミングで見つかるもののようだ。


「紙」だけに留まらない柔軟な素材選びが、彼女の独自の世界観を造り上げている。




Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。


夏樹 圭:私のジャンルは切り絵と言っておりますが、従来の切り絵とは異なり、いわばcut and pasteと言う新ジャンル確立し、新しい形態作っているところであります

作品によって使用するものが、紙にはとどまらず、いろいろなものを使いながら作っていきます。

最近は着物 振袖 留袖 丸帯

袋帯など使用したりしております

また、作品は3Dで立体化したり

そのたびに進化しております。ぜひいちど作品をご覧ください。


鳳凰の絵
「 鸞降誕夢幻華 」

切り絵を初めて間もない頃の夏樹の創作活動は、身近な人に作品をプレゼントをしたり、リクエストがあれば材料費だけを貰って制作するなど、小さな範囲で行われていたが、より広い世界へと彼女を導いてくれたのは、同居している息子の妻だった。

「こんなにも綺麗な作品がたくさんあるのに、SNSで発表しないのは勿体ないです。もっと多くの人に見てもらいましょう」


2022年の七夕にアカウントを開設し、撮影、投稿を一手に義娘が引き受けてくれ、一年後にはフォロワー数が777人に到達した。

(7という数に縁があるのか、本記事の作成に向けて取材をした日のフォロワー数は1177人だった。)


作品が大勢の人の目に止まり、制作依頼も増えることも有り難いが、SNSを通じて自分が切り絵を始めた切っ掛けについて知って貰えることも重要なことと夏樹は考えている。

ある病を抱えながらも、こうして切り絵を制作し、展示・発表活動にも取り組んでいる姿を見て貰うことにもまた、大きな意義があるのだ、と。




Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。


夏樹 圭:私はアーティスト目指していたわけではありません。指定難病パーキンソン病と言う病気を宣告され、まだ若いのに10年で寝たきりになる人もいると言う。現在右手と右足が常に震えている状態です。病気を宣告された時からうつ病の1歩手前まで行き 2ヶ月ほどベッドから起き上がることができませんでした。病院へ行った帰りにふと立ち寄った本屋さんで切り絵の本と出会い、今までにない綺麗だなと言うポジティブな感情が心の中に芽生えました。そして切り絵を始めたのです。右手が震えているので、こんな細かいものを切ることができるのかなと思いながらやってみたのですが、不思議なことにカッターナイフを持って紙を切っていくと右手の震えがピタリと止まります


シャドーボックス界のレジェンド大橋禾苗先生から神様がくれたプレゼントですねと言われたことがあります。病気と引き換えにいただいたプレゼントだと思っております


病気を宣告され8年になります。切り絵を始めて6年目に入ります。リハビリと思って始めた切り絵が多くの方々から、お褒めの言葉をいただき、オーダーでの作品も作らさせていただくようになりました


私は作品を見てくださる方々が

綺麗だね。美しいね。素敵だねと言ってくださる作品を今後も心を込めて作っていきたいと思っております。切り絵によって病気の進行も他の方々より遅く10年で寝たきりがおろか8年目にして台湾にお仕事で行ける位元気になりました。今度は私が皆様に感謝をしながらお返しをして行かないといけないと思い、社会貢献や講演活動など私なりのお返しもしていきます。もちろんこれから作る作品も一つ一つ心を込めて皆様にお届けしたいと思っております。作品を通して何かひとつでも心に届くものを作っていきたいと思っておりますありがとうございます。感謝


舞妓の絵
「 千年の古都 〜古の時〜 」

病の苦しみや、その進行に対しての不安が如何ばかりのものであるか、それは筆舌に尽くし難い。

しかし病がなければ、切り絵と巡り逢うことはなく、切り絵を通じて出会えた沢山の人々の笑顔を見ることもなかっただろう。

夏樹は、病によってもたらされた現在の生活、人生のすべてを愛している。


SNSを通じて、同じように難病と闘う人から相談を受けることもあり、「お話をお伺いして勇気を戴けました」という言葉に、夏樹自身も勇気づけられているという。

介護従事者や家族の介護をする人々へ向けて、ボランティア公演も幾度か行っている。

介護を受ける側の身として感じていることを率直に伝えることで、病を持つ人を支える人と如何にして向き合い、支えていけば良いのか、その答えを見つける糸口にしてもらえればと考えてのことだ。

切り絵の発表や公演活動によって、僅かでも誰かの力になりたい・・・それが彼女の願いである。


昨年は近代日本美術展へ100号の大作を出展し、入選を果たした。

東京都美術館に飾られた自身の作品を見て夏樹は、小振りの画面にまとめることに慣れてしまっていた自分の今後の課題点を見つけたそう。

ただ漠然と絵に向き合うのではなく、“見せ方”も意識して、より洗練された作品を目指したいとのこと。


取材の最後に、こんな質問を投げかけてみた。




Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。


夏樹 圭:私は山形県酒田市と言うところで生まれて育ってきました。酒田市の昔は井原西鶴の日本永大蔵と言う本にも書かれております。北前船の寄港地であり、日本の中心とまで言われた土地柄です。酒田甚句と言う民謡がありますが、その中で毎晩お客様どんどんシャンシャン、シャン酒田は良い港とうたわれ舞妓さんや芸妓さんが、今では、日本最古の木製、六角灯台のある日和山の下のたくさんあった料亭に下駄の音を鳴らしながら歩いていた時代がありました。日本一の大地主本間家があったのもこの酒田です。私の実家は、その酒田の1番賑やかな料亭街の見番の

隣にありました。私のいた時代にはもう北前船は走っていませんので、酒田も普通の田舎町と変わらない感じではありましたが、子供の頃はまだ見番から三味線の音が聞こえてきました。私の叔母が花柳流の名取りをしていたことで、お弟子さんがたくさんあり、日本舞踊のお稽古はもちろん3歳と3ヶ月からやらされました。毎日お稽古場には、お弟子さんたちが出入りしていたので、音楽も日本舞踊用のものばかり聞いておりました。そのせいか着物を着るのも好きになり、現在の作品に着物地を使うと言う発想もこの辺から身近なものとして生まれたのではないでしょうか。そして着物の色づい決して紙には出ない。ふうあいなどよくしっていたからだと思います。私にはこの環境がとても良い影響を与えてくれたと思っております。


(取材/執筆:大石)

 

夏樹 圭の作品を心ゆくまで堪能できる4日間

個性について考える2025 を、どうかお見逃しなく!


夏樹 圭のSNSも、是非ご覧ください。

Instagram:@Keinatsuki

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《 夏樹 圭 プロフィール 》

今から8年前指定難病であるパーキンソン病を発症。人によっては、10年で寝たきりになるとも言われるような難病にかかった事実に打ちのめされ2ヶ月間はベッドから起き上がることすらままならない状況であった。

そんな深い絶望の中、一条の光となったのが、ふと立ち寄った本屋で出会った切り絵の本だった。

もともとはリハビリのために始めた切り絵だったが、その奥深さにすっかり虜となり今では個展を開くまでに至る。

作品によって、紙以外のものを大胆に取り入れることによって、自身が表現したい作品の世界を鮮やかに描き出す、着物や振袖などの従来の切り絵では活用しない材料を取り込むことでcut &paste 言う独自のジャンルを確立させ、生み出す繊細かつ心躍る、美しい切り絵作品は同じように難病を抱える人々に勇気と希望の光になれればとの思いで作品を作っております。

2024年度近代日本美術協会展入選。

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