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たいむ in 個性について考える2024


会期:2024年12月12日(木)~12月15日(日)

会場:Gallery IYN


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うさぎのキャラクターイラスト
「 うーちゃん&サンくんの誕生日イラスト 」(2024年)



たいむ が初めて“水色うさぎのうーちゃん”を描いたのは、小学校低学年の頃。

家で飼っていたので兎にはもともと愛着があり、加えて地元の商店街のぬいぐるみ専門店の店頭をよく眺めていたことから、自然とキャラクター化したイメージが湧いてきたのかもしれないと、彼女は幼少期を振り返る。

うーちゃん やその仲間たちを描く時間は掛け替えのないひとときであったが、中学に上がってからはテレビや漫画の影響から人物に関心が移り、いつしか たいむ の描く世界からうーちゃん達は姿を消していた。


その後 社会に出て、家庭を持ち、多忙な毎日の中で絵を描くこともなくなっていたが、6年前から彼女の心は再び創作に向けられるようになる。

当初は人物をモチーフに選んだが、どんなに練習をしても納得のいく描写が出来ず、納得のいく作品を仕上げることが出来なかったそう。

自分が描くことのできるものは何であるか。

そう考えていた折に目に止まったのが、実家で長らく眠っていた うーちゃん の絵。

「この子なら、今でも描くことが出来る」

そうして、うーちゃん をはじめとした“ふんわりな仲間たち”との交流が再開されたのだった。


他の動物は鳴き声でコミュニケーションをとることが出来るが、兎は声帯を持たない生き物だ。

しかし彼等は、声がなくても表情や仕草で感情を伝えてくれる。

言葉を用いず、視覚情報のみで思いを伝えるという点で、絵描きと兎は共通していると たいむ は考えており、うーちゃん は表現者としての彼女の分身でもあるとも言えるかもしれない。




Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。


たいむ:看板キャラクターのうさぎが水色という現実的に有り得ない色で、他にも登場する仲間たちもピンクや黄緑に黄色などの不思議な色で性格もバラバラなところです。

見ていただいた方には心がほっこりするような絵柄、キャラの動きが明るくて元気をもらえるなどと感想をいただいたことがあります。


うさぎのキャラクターイラスト
「 子どもの頃に描いた看板キャラ・うーちゃんの絵 」

“ふんわりな仲間たち”の日常の一コマを描くことで、彼等に命を吹き込み、「本当に“ふんわりな仲間たち”はいるんだよ。存在するんだよ」という証にしたい。

そうした思いから創作に取り組んでいると たいむ は語る。


嘗て、“ふんわりな仲間たち”だけを友として過ごしていた少女には、今では夫と共に築いた家庭が在り、仕事における仲間も居る。

“ふんわりな仲間たち”の他にも大切な存在が出来て、他者との関わりの輪を広げた彼女が描き出す世界観は、少女の頃よりも豊かなものに発展した。


幼少期から色鉛筆を愛用しているが、夫がiPadをプレゼントしてくれたのを切っ掛けに、たいむ は3年程前からデジタル画作品も手掛けるようになった。

創作活動を一番身近で見守ってくれている夫は、技法の幅を広げてくれただけでなく、「自分が好きな猫も登場させてほしい」とよくリクエストをするそうで、いつしか たいむの思い描く世界には、兎だけでなく猫も姿を表すようになったそう。

“ふんわりな仲間たちの輪”もまた広がっているようである。




Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。


たいむ:ゆるくてかわいいどうぶつたちのイラストを描くアーティストを目指して創作してきました。


今後叶えたい夢は小さい子から大人の方まで興味を持っていただける作品作りと、いつかはふんわりな日常の仲間たちの絵本や子ども向け漫画を描いて出版したいなと思ってます。


うさぎのキャラクターイラスト
「 ふんわりな仲間たち集合! 」(2022年頃)

たいむ が創作を再開した6年前。それは、彼女が自閉症であると診断された年だった。

診断によって、今までに感じていた生き辛さ、抱えていた苦しさの原因がわかり、また過集中の傾向があるため、その後の休養に時間がかかってしまうという自らの特質も知ることが出来た。

けれども、状況を把握したということと対処できるということは別問題である。

今も集中しすぎて体調を崩してしまうことがしばしばあり、苦にならない生活のリズムを模索している際中だ。

自閉症の症状に苦しみ、悩むことも多い。

だが、うーちゃん達をはじめ50匹以上にも及ぶキャラクターを心の中に住まわせ、彼等と共に生きることが出来るのは、自閉症の特性の一つである拘りの強さ故なのかもしれない。

「目を背けたいことでもあるのですが、しかし自閉症は私の活動、または人生から切り離すことが出来ないのです」 そう たいむは語る。


彼女に、次のような質問を投げかけてみた。




Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。


たいむ:子どもの頃の家庭環境がちょっと特殊だったので詳しいことは伏せますが、その子ども時代に生まれたのが「ふんわりな日常」の仲間たちでした。所謂イマジナリーフレンドというものです。一番最初に生まれたのは水色うさぎのうーちゃんです。

生まれ育った土地と帰る場所というものは別にしたいという思いがあります。


(取材/執筆:大石)

 

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