- yuko Oishi
- 5月8日
- 読了時間: 7分
更新日:5月13日
Sakaimekanae in 個性について考える 2025
会期:2025年6月12日(木)~6月15日(日)
会場:Gallery IYN
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幼い頃から、クレヨンや鉛筆など身近な画材で絵を描くことが生活の一部となっていたSakaimekanaeは、兄弟の影響でコミック画材にも親しみ、また学校の授業を通して水彩絵の具やポスターカラーなど使用画材の幅も徐々に広げていった。
現在最も愛用しているアクリル絵の具との出会いは、高校生の時だったそう。
社会人になってから挑戦した油彩画に関しては、どうやら画材としては性に合わなかったようだが、写実的な人物や動物、風景画に取り組んだことで描画スタイルの幅が広がったという点では、この時期も創作活動における重要なターニングポイントの一つであったと言えるだろう。
その他、色鉛筆やドローイングインクを用いた描画もすれば、キャンバス以外の布や壁面に絵を描いたり、はたまた縫製や刺繍・ワイヤーアートなどを作品中に取り入れたり・・・
その表現スタイルは、実に多彩である。
Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。
Sakaimekanae:「『日本人作家』のイメージから外れた画風」でしょうか。私の作品をご覧になった複数の方から「海外の作家さんだと思っていた」(国内の方から)、「本当に日本人なのか」(国外の方から)という旨の感想をいただいたことがあるので、私を「日本人作家」として捉える鑑賞者の方からはこれが個性的と評価される点になるのではないかと考えています。
国籍やルーツを度外視して考えた場合は、具象表現・抽象表現問わず、動物の毛並みや幾何学的な模様などにおいて細密に描いた箇所を評価していただけることが多いので、こうした点も私の個性だと捉えられているのかもしれません。
とはいえ自分自身では自分の作風について「私の作風」としてしか捉えられないので、他のアーティストの方の作品と比べて具体的にどこが個性的なのかよく分からない、というのが正直なところです。

Sakaimekanaeが自らの創作にコンセプトというものを明確に意識するようになったのは、展示活動を始めてからのことで、多くの人に向けて作品を披露するようになってみて、改めて「自分はこれまで何を描いてきたのだろうか」と、これまでの歩みを見つめ直したのだった。
そして見つけ出した答えは、自身の思考・感情・価値観、己が生きている世界から感じ取ったものを形にしているのだということ。
それを更に突き詰めると、広大な宇宙の一部として存在する己を内包する複雑性や、自身の中に存在する多様な要素を描き出しているのであるという。
言うなれば、この世のすべての生命は宇宙の一部でしかない。
であるならば、如何なる時も宇宙の一部として、存在が許されているということでもある。
そのことを絵にすることで実感できるからだろうか、何か嫌なことがあったり悩みを抱えていたとしても、Sakaimekanaeは作品作りに打ち込むことで、気持ちを整えることが出来るのだそう。
勿論、描くという行為そのものが純粋に楽しいということもあり、創作は人生に於いてなくてはならない、大切な日課であるという。
Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。
Sakaimekanae:「何かしらのジャンル・カテゴリーに当てはめきれないアーティスト」を目指しています。他のアーティストやアーティスト以外の誰かに無理に似ようとせず、あくまで私自身であろう、と思いながら創作を続けています。
とはいえ私にも、「自分もこういう絵を描きたい」と思わせた作品と出会ったことは多々あります。例えば19世紀の象徴主義絵画や20世紀初頭以降の近現代美術、日本も含めたアジアや中南米など世界の古典美術、原宿系のファッションやヴィジュアル系の音楽・バンドをモチーフとしたファンアートです。もちろん、日本の漫画やアニメ、ゲームで用いられたイラストレーションの影響も多く受けています。こうしたアートが自分の作風に影響を与えていると認識しながらも、これらのうちのいずれかに帰属するのではなく、あらゆる要素を内包した上での私自身であろうとしています。
表現者として叶えたい夢・理想像としては、私たちのいる社会や世界にこれまで現れてこなかった価値観を提示したり、そうしたものへの気づきを促す表現者でありたいと考えています。今の私自身が作品を通して伝えたいことが、実際にこうした「社会や世界にこれまで現れてこなかった価値観」といえるか否かは分からないのですが、アートの意義のひとつとして聞いたことのある「新たな価値の提示」に重点を置いた作品制作をしたいと考えていることには変わりありません。

「個性について考える」展では、F8号サイズのアナログ材料の新作を披露する予定であり、抽象も具象も、立体的な描写も平面的な線表現もすべて混在させ、正にSakaimekanaeの持つ個性を集約した作品になりそうだ。
また、その他にも複数点の作品が会場に並ぶ。近頃はデジタルペイントも着手しているそうで、デジタル画として出力するものもあれば、アナログ画にデジタル手法を取り入れたものも展示したいとのことで、実にバリエーションに富んだ作品群を見ることが出来そうだ。
どうしても制作に向かう際には使い慣れた画材で勝負してしまいがちであり、新しい画材に挑むことは決して容易ではないのだが、「いずれは岩絵の具やテンペラ絵具も扱ってみたいとも考えています」とも話してくれた。
そんなSakaimekanaeへ、取材の最後に次のような質問を投げかけてみた。
Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。
Sakaimekanae:人間社会と自然との両方に身近に接する環境で生まれ育ったことが(安易に「自然」と「人工」を対立的に捉えることはしたくないのですが……)私自身の内面の複雑性やモチーフ・表現の仕方の無頓着さに影響している可能性を考えています。
また、野生動物の死に接することや、人間の死の存在を示すものにも意識が向くことが度々ありました。
より直接的な影響としては、西洋・東洋の古典美術と近現代美術を共に取り扱う美術館が近所にありその美術館に度々通う機会を得られたことや、やはり近所の書店で見かけたファッション・音楽雑誌やゲーム雑誌を通じてポップカルチャーに接する機会が多かったことも、私の作風やものの見方に影響していると思います。
また、出身地や故郷そのものの話ではないのですが、親族の仕事や人間関係を通じて日本国外の文化に触れる機会が多かったことが、「日本人作家」のイメージから外れた画風のもとになっているのかなとも考えています。
上記のいずれの場所についても、生まれ育ったその時とは人も自然も変わっている、もしくは変わりつつあるのだろうと感じています。そうした変化を時に寂しく思うこともありますが、自分自身の心が時と共に変わるのと同じように、世界のものごとは何事も常に同じではあり続けないと考えるようにしています。
(取材/執筆:大石)
Sakaimekanaeの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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