- yuko Oishi
- 9月7日
- 読了時間: 6分
更新日:9月24日
北村あさみ in 個性について考える 2025
会期:2025年9月25日(木)~9月28日(日)
会場:Gallery IYN
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黒く塗りつぶした画面を、細さの異なるニードルを使い分けて下層に塗ったクレパスやアクリル絵の具の層を削り起こし、様々なモチーフを画面に浮かび上がらせる。
筆やペンでは表現できない細やかな線で描かれるのは、日常生活に於けるふとした心の動きと何処かで結び付けることが出来るモチーフたち。
何故、私たちの心は動くのか。
それは一体どのような仕組みであるのか、どんな要因があるのかと考えることは非常に興味深いと、北村あさみ は語る。
直接的には関係がなくとも、その感情を呼び起こすものを、普段から撮り集めた写真資料の中から見つけ出し、彼女はその感覚を画面の中に留め置かんとしている。
「日々感じ取っている、目に見えないけど大切なもの、“クオリア”と呼ばれたりするものを表現できたらと考えています」
そう彼女は話してくれた。
Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。
北村あさみ:下地から自作でスクラッチの絵を描くいうことが、おそらく個性の一つになっていると感じています。
油絵や水彩、ペンで描いている人よりは少ないのかなと。
また、針で画面を引っ掻きながら描くので、小さい作品でも線の数・点の数が多く、作業的な意味で細かい描写の作品と思っていただけることが多いです。
背景はだいたい黒なのであまり明るい印象は無いのですが、暗い気持ちにはならないと思います。。

親類に絵の巧みな人が居たことから、「どうしたらこんな風に描けるのだろう」と、幼い北村の胸には探求心と向上心が芽吹いたようだ。
それから絵を描くことが日常になり、小中学生の頃は描いたイラストや漫画をよく級友に見て貰っていたらしい。
高校に上がってからは本格的にデッサンに打ち込み、仕上がりを褒められることの嬉しさが、更なる上達を目指して突き進む活力になっていた。
しかし大学の美術科の授業では、周囲の生徒たちも実力者揃い。
成績の順位に心を落とすこともあり、絵を描くことに苦手意識を持つようになってしまう。
そんな折にゼミで学んだ銅版画は、余程性に合っていたのだろうか、夢中になって取り組むことが出来たそう。
そして卒業後は、銅版画の作業工程をもとに着彩作品も描きたいと考えて、スクラッチ技法に辿り着いたのだった。
エスキースを作成して画面に転写し、塗りつぶしを行った上で新たに描き起こし・・・と、同じ図像を何度も何度も描く必要があり、また削っても削っても完成までは程遠い。
気が遠くなることもしばしばだ。
しかし「手を動かしてさえいれば、いつかは完成するのだ」と北村は自らに言い聞かせる。
そして幾日にも渡り、少しずつ、根気よく作業を続けていくのだ。
作業に打ち込むひとときは、一日の出来事を反芻する時間でもある。
嫌な出来事、気にかかっている事柄などをあれこれ考えてしまうので、その心持は必ずしも愉快なものとは言い難い。
けれど、創作をしなければ己の中の最も重要な要素が失われてしまうような気がしてならない・・・
そう北村は語る。
それ程までに、絵は彼女から切り離すことの出来ない、謂わば人生の一部になっているのだ。
Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。
北村あさみ:何かを目指していたかと言われるとそういうわけではなくて、ただ「淡々と続ける」が心にあったと思います。
自分はどういう人間なのか、何に心が動くのかなど、自身の輪郭を知るために必要な作業で、今でもそうです。
一目見ただけで「没入」まで到達させることができるような絵を描けるようになることが、今後の目標の一つです。
そうしているうちに、私の名前に「描いている人」みたいなアイデンティティが含まれるようになりたいと思っています。

「個性について考える」展に参加するにあたり、北村は改めて個性とは何であるかと考え、それは必ずしも目に見える形で自己を演出することを指すのではなく、何に心を動かされたかという受動的体験も大きな意味を持つのではないかと気が付いた。
例えば絵を見るに際しても、目の前の作品を好きだと感じたり又は嫌いと感じたり、自分なりに画題を解釈をすることで個性が育くまれていく。
人に話せば、それは聞き手にとっても個性を育む体験になるだろう。
自分の絵が、誰かが己の個性と向き合う切っ掛けになったなら・・・
そんな願いを胸に、出展に臨むつもりであるとのこと。
取材の最後に、北村に次のような質問を投げかけてみた。
Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。
北村あさみ:生まれが海と山に囲まれた土地だったので自然の中で遊ぶことが多く、そこで出会う生き物や植物が当時の私の好奇心をたくさん満たしてくれました。そこにあるもので必要な道具やおもちゃも作りました。また、自然での遊びには天候や日没までの時間も重要で、よく空の様子を気にしていたなと思います。
今でも空はよく見上げます。
今まで目にしてきたたくさんの生物や空の自然体な美しさが、私の作品の構図に一番その影響を与えています。
枯葉の落ち方、枝の伸び方、魚の群れの形、雲の形など人が手を加えてない在り方がきっと私は好きで、モチーフにも選んでいると思います。
いま故郷については、街並みに新しいものが生まれていくのを度々目にしていますが発展していくわけでもなく、こじんまりと整っていく、削ぎ落とされていく、洗練とはまた違ったシンプルさを感じてます。
海上自衛隊、陸上自衛隊、米軍基地がある街で、それが何か影響しているのかはわかりませんが。
(取材/執筆:大石)
北村あさみの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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Instagram:@a_chanism_
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《 北村あさみ プロフィール 》
長崎県出身、福岡県在住。
福岡教育大学で銅版画を学び、卒業後独学でスクラッチ画を描き始める。
福岡県内での個展、グループ展、ライブペイントの他にブルックリンでの展示経験もあり。
公募展やオークションにも参加するなど、様々な形で作品を発表してきた。
また、料理の仕事にも同時に携わっており、現在福岡市内のレストランでスイーツの開発を担当している。
料理をしていく中で得た感性と絵を描いていく中で得た技術をそれぞれに反映させながら、アートを感じさせるスイーツと更なるスクラッチの深みのある新しい表現を日々探究している。








































