「ヨルシカを語りたい」
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私はヨルシカが好きだ。


IYNアートコミュニティサロンでは、「〇〇を語る会」というものを月に4回ほど開催している。

その会では、好きな漫画や好きな映画、好きな小説などをただただ語っている。もちろん参加者の方だけでなく、私たちIYNスタッフも存分に語っている。仕事中にこんなに好きに喋っていいのかと感じるが、あまり仕事感を出されても萎縮しちゃうのかなと感じ、なるべくフランクに話すようにしている。


サロンを立ち上げた当初(もちろん今もだが)のコンセプトは「視野を広げる」だった。しかし、それがなかなかうまくいかない。

人が集まりそうなテーマを設定し、語る会を開催しているため、果たしてそれが「視野を広げる」というコンセプトに沿っているのか甚だ疑問に思うことがある。


しかし、「人がくるのかな」「盛り上がるかな」などあまり考えずにアウトプットできる場があることに気づいた。

まさに今このコラムを書いているこの場で、私の好きなヨルシカについて語りたいと思う。

なんなら、「ヨルシカを語る会」を開きたいくらいなのだが、このコラムで少しでも語る会の雰囲気が伝われば幸いだ。



「ヨルシカ」は、ボカロPとして活動している「n-buna」がボーカルの「suis」と共に結成したバンド。

文学的であり詩的な表現の歌詞と、美しいメロディが特徴だ。

代表曲は、「言って。」「ただ君に晴れ」「だから僕は音楽を辞めた」「風を食む」「春泥棒」「花に亡霊」などなど、全部好きすぎてもう何が有名で何が代表曲なのかわからない。


ヨルシカを好きになったきっかけは、「だから僕は音楽を辞めた」というアルバムに入っている、「八月、某、月明かり」という曲。

その曲の後半、「そんなの欺瞞と同じだ エルマ」と歌う部分があり、ボーカルsuisさんの表現力にしっかりと心を鷲掴みにされ、それ以降通勤途中も帰宅途中もひたすらそのアルバムを聴きまくった。

声を荒げるというと聞こえが悪いかもしれないが、少し背筋がピンとなるようなそんな歌い方をしていて、ハッとさせられる。



聴いているうちに他の部分の歌詞もだんだんと聞こえてきて、どんどんと微分されてきて、歌詞の凄さがわかるようになった。


「人生27で死ねるならロックンロールは僕を救った」という歌詞。


27歳で亡くなったミュージシャンやアーティストは、

「27クラブ」というクラブのメンバーとして名前が挙げられることがある。例えば有名ミュージシャンだと、ジミ・ヘンドリックスやカート・コバーン、有名アーティストだとバスキアなど、27クラブと調べると何人もの有名アーティストの名前が挙げられる。


歌詞の中で27クラブに言及し、しかし「知ってる人なら気づく」ような書き方で歌っている。これがまた憎い。

杏さんや若林さん、「憎いね、ヨルシカ。」と言って。



「八月、某、〜」が入っているアルバムは「だから僕は音楽を辞めた」だが、アルバム名と同じ名前の曲がアルバムの最後に収録されている。

曲というのは一般的に「4カウント」で始まることが多い。平たく言えば「1、2、3、4 ジャーン」だ。

ダンスレッスンなどでも「5、6、7、8」というカウントがあってから踊り出す場面を見たことがあるのではないだろうか。


しかし、「だから僕は〜」は「2カウント」で始まる。

「4カウント」だと思って聴き始めると、「うわ!歌い出した!」と面食らってしまう。そこでもまずびっくりするのだが、それに加えて歌い出しが「考えたってわからないし、〜」なのだ。


「ああもう、うだうだ考えてもわかんないし仕方ない!」と言って思い切って行動するような、そんな印象を最初の2回のカウントと歌い出しだけで感じることができる。


また、曲の最後。

曲のセオリー通りいけば8小節を2回繰り返して終わるところをもう4小節付け足して終わっているのだ。

しかも「だから僕は音楽を辞めた」という歌詞と共にぶつ切りで終わる。

本当のところはわからないが、「辞めたくない」という気持ちが4小節に込められているように感じるし、「それでも辞めないといけない」という現実がぶつ切りに表されているように感じる。半ば諦めのようなものもありつつ、その中でもやっぱり音楽を続けたいという本心が見え隠れする。

ここに、ヨルシカの曲の奥深さを感じるのだ。


音楽番組を見ていると、

「なぜこのバンドは、この歌詞にこのメロディを載せたのだろう?」と疑問に思うことが多々あるのだが、ヨルシカを聴いていると本当にすんなり曲と歌詞が入ってくる。

このほかにも「春泥棒」という曲のメロディの展開が素晴らしいとか、「盗作」という曲にクラシックの名曲がオマージュされているとか、先日ライブDVDがリリースされた「月光」のここがすごいとか…、語りたいことがたくさんあるが、気づけば1932文字も書いていた。


弊社でコラムなどを書くことが多い私だが、今までで一番多い文字数になってしまった。


このコラムはあと80字。

コラムの価値は終わり方だろうから最後に。

ヨルシカ本当に素晴らしいので一度聴いてみて下さい。

そして少しでも興味が湧いたなら是非「ヨルシカを語る会」で会いましょう。

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