- yuko Oishi
- 5月11日
- 読了時間: 6分
南 巳一郎 in ART INPUT 2025
会期:2025年6月5日(木)~6月8日(日)
会場:Gallery IYN
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“自分の頭に浮かび思い描く-もしくは私がそう思っているだけで実際に何処かにあるかも知れない-世界を描き出す事”をモットーに、昨年もSNSやGallery IYN主催の展覧会に於いて、数多のデジタルイラスト作品を披露した南巳一郎。
企画展に参加した際は必ず会場に足を運び、他の参加クリエイターの作品か学ぶ点も多いという彼は、ここ最近だと、諺や故事成語などを視覚化した表現スタイルにに関心を持ったそう。
自分の制作にも取り入れるとしたら、描き表したい言葉は「至誠通天」。
己の信念を貫き、誠を尽くせば、願いは必ずや天にも通じるという吉田松陰の語は、確固たる活動の軸を持って堅実に自らの道を進む 南の創作姿勢に重なるようにも思える。
彼の創作との向かい方は、正に誠実そのものだ。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
南 巳一郎:今回こちらで選ばせていただいた作品の中では「前日譚‐赤と青の邂逅」になります。
こちらは元々「鬼と式神展」において出展させていただいた作品なのですが、この企画展において私は初めて「与えられたテーマに沿ってキャラクターを描き上げ」「尚且つ一目でそうと分かるようにデザインを練り上げる」という課題を得ました。
特に「式神」という、一枚のイラストでは表現が難しいものを描くにあたり、一定以上の知識と、そこに私自身のイメージを落とし込む必要がありました。
そこから試行錯誤を重ねた結果、角が折れていて片目に刻印がある=人間に調伏された証、整然とした服装と大幣=人間に従い、魔を討つ者となった、裸足で出歩いている=鬼としての矜持は決して失っていない…という形で私なりの式神像が完成しました。
恐らく企画展に参加していなければ得られなかった経験であり完成しえなかった作品だと、私は考えているのです。

「鬼と式神展」以外の企画に於いても、参加の度に自分一人では知り得なかったこと、目を向けなかったであろう事をインプットし、それを創作の糧にしてきた。
例えば「やみかわ展」では、当初“闇”と“可愛い”は両立し得ないのではないかとさえ感じた彼に、他の参加者の作品たちは、実に多様な答えを提示してくれた。
自分の中では接点を見い出しにくい組合せも、それは己の先入観の問題であり、自分が気が付いていないだけで、アート表現の可能性は無限に広がっているのだ。
南にとってイラスト制作と自己表現は必ずしも同義ではない。
無論、広い意味では自己表現なのだろうが、彼は自らを飽く迄も想像の世界をアウトプットするための道具であると考えている。
ならば其の道具は、どんな作品にも対応できるよう、多角的な視野と感性を持つことが望ましい。
彼は様々な企画で経験値を積みながら、自らの精度向上を目指しているのである。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
南 巳一郎:私は普段SNSにて作品を投稿していますが、それを始めた10年ほど前の段階では自分のスタイルが固まっておらず、閲覧数が伸びない事に悩んでいた事もあり自分がどうあるべきかが分からなくなっていました。
しかし自分が考案したキャラクターのイラストに感想をいただいた事を受けた私は、その時から「観て貰おうとする」事を止めました。
一次創作にしろ二次創作にしろ、流行りのものであるか否かにしろ、自分の作品を観てどう思いどう感じるかを決めるのは、作品を観てくださる方々であり自分ではない。
そう思い至ってからは私はただ自分が描きたいものを描きたいように描くという、自分のあるべき形を見つけ今に至るのです。

自身がアウトプットしなくては決して人の目に触れることも、知られることもない想像の世界を、作品を通して誰かと共有できれば勿論嬉しい。
けれど、我武者羅に「見てくれ」と売り込む事は、南の信条にそぐわない。
SNSにせよ展示会場にせよ、然るべき場所に作品は置いておくが、其処で立ち止まって鑑賞するか、その場を去るか・・・それは通りすがった人の心に委ねたいと考えてるとのこと。
飽く迄も趣味と割り切っているからこそ、過度に評価や名声を求めることも、惑わされることもない。
彼のアート探求は、どこまでも純粋で、真っ直ぐだ。
取材の最後に、彼に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
南 巳一郎:「ただ望むままに描く」という指針を見出した後も、やはりSNSという不特定多数の他者が集う場で活動する以上トラブルと無縁でもいられませんでした。
特に頭を悩ませたのは「閲覧や評価の催促」と「趣味嗜好の押し付けと曲解」でした。
前者は「絵は誰かに無理矢理見せられるものではない」という私の考えとは完全に相反するものであり、後者は私の作品の中に自分の(言葉を選ばず言うのなら、非常に偏った)趣味嗜好と合致すると思しき表現があったという、ただそれだけの理由で、私のキャラクターを餌か踏み台の如く粗末に扱われ、あまつさえそれを見せられた私が「感激している」と、私自身の主張を都合よく受け取る始末でした。
それらに対し怒りをぶつけてしまった事もありましたが、そういった経験を踏まえて私は「作品の解釈や評価は観る人に委ねられるが、決してそれを強いてはならず、土足で踏み込んでもならない」という、自身への戒めも兼ねたスタンスを取るようになりました。
趣味の世界と謂えど、自分が相対しているのは自分とは全く異なる人間であるという前提を忘れないようにする事が、この先も必要であると考えています。
(取材/執筆:大石)
南 巳一郎の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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